前々回のブログでは、人材育成の視点からグローバル人材を組織的に育成できるのかについて述べさせていただいたが、今回は個人の視点から「グローバル人材になる方法」について書きたい。
まずどんな人がグローバル人材なのかについて明確にしなければならないが、これは人によって意見が異なる。またどの角度から見るのかによっても変わってくる。
私の活動の「グローバル人材育成」はあくまで仕事をベースにした「グローバル人材」である。
専門性の立ち位置によっても変わってくる。英語教育系の人は、まずは英語だと主張するし、異文化コミュニケーションの専門家は異文化スキルであると主張する。TOEFLなどのテスト業界の人たちは、MBAを取得すればグローバル人材だと言うかもしれない。
また、海外に3年以上駐在した経験のある人は、その経験を持ってして自分はグローバル人材だと考えているかもしれない。ニューヨークに5年間駐在して現地の日本人とだけ仕事をし、英語をほとんど使わなかった人は英語不要論者だ。
これらの見方は、それぞれ全く間違っているわけではないがどこかバランスが取れていない。
グローバル人材とは「グローバリゼーションに適応している人」であって、英語力や異文化スキルだけに秀でている人というわけではないし、外国に何年か住んだという実績というわけでもない。
真のグローバル人材とは、同じ国籍の人とも、どの国の外国人とも、性別も世代も価値観も専門性の違いも超えて仕事の結果を出せる人のことである。
昨日、テニスの楽天ジャパンオープンで錦織圭氏が優勝した。彼のコーチやスタッフは多国籍である。世界中で最も優秀なスタッフを自分の味方にすることができるのは彼にそれだけの人としての魅力があるからである。
彼にはビジョンがあり、そうなるための戦略と思考力があり、常に自分を鼓舞し、多様性を生かし、人から学び人を動かすコミュニケーション力と英語力がある。これらすべてを備えているからそれが彼の魅力になる。私が提唱しているPGモデル(パーソナル・グローバリゼーションモデル)の5つの要素をすべてを兼ねそろえている。そしてこれらの要素一つ一つは訓練が可能であり、彼も生まれ持ってこの要素を持っていたわけではなく、自分のビジョンを手に入れるために努力に努力を重ねてきたはずである。
優勝インタビューでマイクを向けられると、彼はまずは英語でスタッフへのお礼とねぎらいを述べた。こういうちょっとしたことに彼がグローバルな舞台で成功する資質を感じてしまう。
ビジネスの世界でも、彼のような人材が多く存在すれば日本企業はまだまだ世界のトップとして君臨することは十分に可能だ。
ある日本企業のA氏は、先日事業部長の職を解かれた。理系の高学歴で専門性が高い人材であったが、360度評価から出てきた結果は、変化への適応を拒否し部下にもネガティブな影響を与えているという側面であった。A氏は、英語が嫌いだったから理系の大学に行き技術者になった。今更自分に英語力を求める会社に不信感を持ち、理系の部下たちにもその考え方を押し付けていた。
彼が解任された理由は、英語力が低いからではない。グローバリゼーションに適応せず、またそれを部下に押し付けようとする姿勢そのものである。
優秀な技術者であれば、世界中の優れた技術者と協働し、そのダイバーシティを活用しイノベーションを起こす能力が求められる。英語力はその時に必要なツールの1つでしかない。
英語か技術の二者択一というような考え方はもう時代には全く合っていない。
A氏のような事例は日本の大手企業の中に山のようにある。そして、そのことが日本企業のグローバル競争力を下げるひとつの要因になっている。
このような柔軟性に欠けた考え方は修正できないのだろうか?
そんな事は決してない。A氏のような価値観を持った人はちょっとしたきっかけで大きく変わる。
そのちょっとしたきっかけとは、「自分自身をグローバル人材にする方法」が分かった時である。
英語が嫌いだから技術者になったというのは、ちょっとした愚痴のようなもので、優秀な人材であればグローバリゼーションというものはどういうものか分かっているし、自分をグローバル人材にしなければ会社に迷惑がかかることも、自分のキャリアにネガティブな影響があることも100パーセントわかっているのだ。
だから、自分自身をグローバル人材にするべき「Why(なぜそうするべきか)」「What(どんな能力か)」「How(どう身に付けるか)」が腹落ちしてしまえば、一気に取り組んでものにしてしまう人がほとんどである。
すなわち「自分をグローバル人材にする方法」は、この2W1Hを腹落ちさせて行動に移すことなのだ。
このブログでそのすべてを説明できないので、もしそろそろ始めたいと思われる読者の方がいたら、10月25日(土)に「 本気でグローバル人材を目指す人のための3ステップ&英語をモノにする学習法×モチベーション」を開催するので気軽に足を運んでいただけると嬉しい。
人材育成のご担当者の方が参考までにいらっしゃるのでもいいし、自分自身をグローバル人材にしたいという方もウェルカムである。迷っている人の背中を押せる、それも同じ思いの仲間に会える楽しいセミナーである。
詳細はこちら→http://www.personal-globalization.com/seminar/pgseminar41_20141025.html