布留川 勝の人材育成の現場日記

日本人エリートがグローバル化しない理由

2014/02/26

グローバル人材育成

選抜部課長

最近国内大手企業のグローバル人材育成の流れの中で、「自らのグローバル人材化は自責で行うのが本来のあり方だ」という考え方が出始めている。
写真 (26)会社に言われるから、という受身の姿勢ではグローバル人材の一要素である英語力さえも身につけることはできない。
それは、この10年を振り返っても著しく投資効果が低いと評価されている社内英会話レッスンからも証明されている。

2年前に3カ月の週2回レッスンの受講者に行ったアンケートでは、その後継続して英語学習をしている社員は5%以下であったという企業がある。
対象者や会社にもよるが、おおよそ他社でも似たような状況であると推測される。英会話レッスンそのものが悪いのではなく、なぜ英語が必要なのかが腹落ちしていないことが問題なのであるが。

Why(なぜやるのか?)が希薄であれば当然予測される結果である。

2008年に私は拙著「パーソナル・グローバリゼーション」との中で、日本のビジネスパーソンは5年以内にグローバルな社会で存在感を下げてしまうのではないか、だから、そうならないうちに自らグローバル化という大きなうねりに適応しなければならない、という主旨の意見を述べた。
当時グローバルで戦っている企業戦士からはまさに同感であるという激励のお言葉を多く頂き大変勇気づけられた。

5年が経過し、残念ながら私の危惧は現実のものとなったと言わざるを得ない。

なぜそうなってしまったのか?
それは日本人が想像する以上に早いスピードとエネルギーで他国の人材は、個のグローバル化(パーソナル・グローバリゼーション)を推進してきた結果日本人が取り残されたからだ。

特に中国人、韓国人をはじめアジア各国のエリート層はその重要性をまっすぐに受け止め努力を重ねてきている。
一方、多くの日本企業の中核人材はそのことになかなか気がつかない。日々の仕事は国内で日本人と日本のルールで行っている。
多忙を極め社内の他部署の動きさえも目を向ける余裕もないのにグローバルなど他人事でしかないのだ。実際これらの企業はグローバル市場を無視できるほどの余裕はないのにもかかわらずだ

先日某IT企業の1000人の管理職を対象に行ってきた私が講師を務める「パーソナル・グローバリゼーションセミナー」が終了した。毎回30-50人の参加者であったので25回ほど行った計算になる。
1000人の、非グローバル管理職との1日セッションは、微妙な間合いから始まる。なぜなら、多くの参加者は指示されたから参加しているだけで主体的にセミナーに参加しているのではないからだ。

1000人の日本人エリート層とのセッションを通じて私に残った確信は、少なくとも80%以上は、「パーソナル・グローバリゼーション」を実現したいと心の中では思っていることである。
そして、いったんそうすると決めてしまえば、彼らは他国のエリート同様自らをグローバル人材に変える潜在力はあるのである。

ただ、Why(なぜなるべきなのか?)とHow(どうすればなれるのか?)が希薄だから足踏みしているだけなのだ。

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