少し前になってしまったのだが、1/30(木)にロンドンビジネススクールのディレクター時代からのパートナーであり作家、ファシリテーター、エデュケーターであるAdam Kingl氏と、ロンドンビジネススクールのシニアクライアントディレクターであるMary Greene氏を招いてグローバル人材育成研究会を開催した。
Adam Kingl氏は、最近、Next Generation Leadershipという書籍を出版し、この本の中では、様々な人にインタビューを行い、今後のリーダーに求められる要素をまとめている。今回はその書籍の中からいくつか面白いポイントを発表いただいたのだが、中でも興味深かったのがGeneration Yが求めるワークライフバランスに関する考察だった。
若手世代にとっての「ワークライフバランス」とは?
Generation Yとは、主に欧米で1980年代序盤から1990年代中盤(または2000年代序盤)までに生まれた世代のことを指す。世代交代が進み、今後、彼ら・彼女らが社会の担い手として大きな影響力を持ってくることは確かだ。今回のアメリカ大統領予備選挙でもそのうねりがある。そんな彼ら・彼女らは組織に何を求めるのだろうか?その調査結果が下記の通りだという。
1位 Work Life Balance ワークライフバランス
2位 Organizational culture 組織文化
3位 Development opportunities 成長機会
これ自体はよく言われていることなので、大きな驚きは少ないかもしれない。ただ、日本ではワークライフバランスというと、働き方改革や残業規制など、時間内に仕事を進め、ライフを充実させることでワークにも良い影響を及ぼそう、という、「時間」の文脈で語られることが多い。しかし、この調査では、この世代がワークライフバランスで重視するのは時間ではなく、「場所」なのだという。「好きな場所で働き、成果を出す」、これが欧米の若い世代に広がる価値観なのだという。今回、新型コロナウイルスの影響で日本でも急速に広がっているリモートワークだが、おそらくこれがきっかけで日本社会が大きく変わるだろうと思っている。実は当社でも現在、リモートワークをしている。ミーティングツールを使って、毎朝全員で朝礼や情報共有も行っており、対面で行っているのと大きな違いがなく、驚くほどうまくいっている。
企業共通の課題と選抜人材への投資
後半は、ロンドンビジネススクールのSenior Client DirectorのMary Greene氏から幹部教育のご紹介をいただいた。
ロンドンビジネススクールは、日本でも有名なライフ・シフトの著者であるリンダ・グラットンが教鞭をとっている、世界でも有数のビジネススクールだ。
今、世界中の企業は、次のような共通の課題を抱えている。
・イノベーションを起こすためには?
・社員の成長を促す環境とは?
・組織文化の変化への対応
・顧客トレンドの予測
海外ビジネススクールの幹部教育では、選抜人材へ投資していくわけだが、選抜人材にこのような強烈なインプットと、課題解決のために新しいことを考えるための土台を提供する。その人材が自社で新しい取り組みを行うことで投資が回収できる。知識やスキルそのものは陳腐化するスピードがどんどん速まっているが、人間は陳腐化しないし、優秀な人ほど変化し続けることが出来る。そういった意味で、選抜人材への投資はますます重要になってくるだろう。
写真はその後、二人にインタビューをしている際の一コマ: