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2019年11月11日(月)に第191回G研「グローバル人材育成プログラム事例発表&ラウンドテーブルディスカッション!」を開催した。
当日は3部構成とさせていただき、第1部は私からグローバル人材育成の課題の整理、第2部でトレンドマイクロ株式会社 人事総務本部ビジネスパートナー部の部長ディレクターである小木曽 光倫氏をお招きし、先進的な人材育成の取り組みをご紹介いただいた後、第3部でご来場いただいた皆様とオープンに議論させていただいた。
今、日本企業はグローバル人材育成でサステイナブルであるために何をするべきか?
もともと、今回のG研では、業種やグローバル化のステージも異なる各社が集まり、グローバル人材育成・組織開発の課題を議論したいと考えていた。そのため、私からは最近よくいただくご相談の中でも、各社共通の課題を下記の通り取り上げ、解説をさせていただいた。ビジネス形態やグローバル化の進展度に差はあっても、「それを担う人材をどう供給・育成するか?」は、日系企業・非日系企業でも共通の課題だ。
- そもそも、なぜ「グローバル人材」なのか?
- なぜ「グローバル人材」は英語のできる人材という発想になってしまうのか?
- 英語力を定量化する際の課題
- 企業はなぜグローバル人材と非グローバル人材を色分けしたいのか?
- なぜ注意深く慎重な日本企業は赴任前に慌てて数日間の研修実施で送り出してしまうのか?
- 日本の英語のできるエリートはなぜビジネススクールや多国籍会議で積極的に参加できないのか?
- 現在国内で活躍している各部署のAクラス人材にグローバルスキルや英語力は必要ないのか?
- 最近多くの経営陣が、課長と直接話をしたい、彼らと直接プロジェクトを進めていきたいという理由はなんなのか?
Be Yourself 〜キャリアは自ら築くもの〜
第2部では、トレンドマイクロ株式会社 小木曽 光倫氏に、人材育成の取り組みをご紹介いただいた。トレンドマイクロ様の人材育成のベースは「キャリア自律 Be Yourself」という考えだ。キャリア形成は、誰のためでもなく自分自身のために行うものという考えのもと、自律的なキャリア形成をサポートするため、会社として先進的な施策を用意されている。
小木曽様はHRビジネスパートナーとして、各部署の課題をヒアリングしながら、各部署の個別具体的な課題を総合的に解決するためにアジャイルな課題解決をされているのが印象的だった。ご導入いただいているグローバル人材育成プログラムも、もともとはエンジニアのグローバル対応力の向上という非常に具体的な課題意識から生まれたもので、当社のパーソナル・グローバリゼーションモデルに共感いただいて実施いただいている、という嬉しいお話もお伺いした。毎年受講者が変わると必然的に課題も異なるため、プログラムのフォーカスや内容も変わってきている。私たちとしても、現場の課題に寄り添った課題解決につながっているようで、とても嬉しい。
「すぐに使わない」と「鍛える必要がないのか?」
第3部では、ご来場いただいた皆様の課題感を共有いただきながら、議論を進めた。
- グローバルという言葉が大きすぎて、総論賛成各論反対になりがち。どこから手をつければよいのか?
- グローバル人材、次の候補が「枯渇していく」。常に同じ人たちの名前が挙がってくる。
- 海外現地法人、現地ではどんな人が求められているのかを本社で把握できていない…。
- せっかく研修でグローバル人材を育成しても使うところがない…? など、様々な課題が出てきた。
なかでも、4番目の「せっかく研修でグローバル人材を育成しても使うところがない…?」というのは、頻出課題だ。「すぐに実践の機会がない人は、グローバルスキルを鍛える必要がない」のだろうか?
ただ、「実践の機会」は急にやってくるものだ。海外赴任をしなくとも、国内にずっといたとしても、英語やグローバルスキルを使わざるを得なくなる日が急にやってくる。しかも、そのような機会は往々にして、「失敗できない」リスクの高い場合であることが多い。それまで何もせず、のんびりしていて良いのだろうか?ナレッジワーカーは、グローバル化・デジタル化の波を免れられない。グローバルもデジタルも、ここ10年であっという間に、その影響がより複雑でより深刻になった。「今すぐ使う、使わない」の議論は、VUCAワールドの現実を踏まえておらず、ナレッジワーカーとして10年後に自分の仕事があるかどうかの瀬戸際なのに、なんとも心もとない議論だと言わざるを得ない。
だからこそ、私はトレンドマイクロ様の「キャリア自律 Be Yourself」というコンセプトにとても共感している。会社にキャリア形成を任せるのではなく、自らの意思でキャリアを開拓し、そこで自分たちを個人としても組織としても強くしていく。VUCAの時代に、あるべき組織と個人の在り方ではないだろうか?
当日は懇親会も実施した。色々な方々とお話できてとても楽しい会だった。ご担当者様同士のネットワーキングを深める会で、1月17日(金)にも新年会と称して実施予定だ。ぜひ多くのお客様にお越しいただければ幸いだ。
2020年1月17日(金)【新年会開催!】自己変革なくして、組織変革なし。グローバルでも輝く日本人変革リーダー育成戦略!