第二部では、当社パートナー講師の脇田啓司氏が登壇し、「脱・長時間労働のために上司に求められる力~メンバーの個性を活かし、チームの生産性を最大化させるコツ~」というテーマでお話し頂いた。
働き方改革が叫ばれる現代で、残業はダメ、欠員の補充は難しい、メンタルの問題も出してはいけない。それにも関わらず生産性を高めろ、結果は出せ、と目標はどんどん上がっていき、管理職は、まさに八方塞がりの状況に置かれている。この状況をどのように脱却するのか、アドバイスやツールを、ワークを通して脇田講師に頂いた。
今回は以下2点のポイントをフォーカスした。
1. 生産性の高い職場とはどんな環境か?
2. 世代差を踏まえたうえで自己を理解し、相手を理解する
1. 生産性の高い職場とはどんな環境か?
まず、働き方改革において、大多数の会社はいかにスピーディーにするか、など数字で考える傾向がある。しかし、このやり方で生産性を求めると、会社内のストレスはどのような変化があるだろう。
生産性(低⇔高)とストレス反応(小⇔大)の関係性を比較するために、A、B、Cの枠組みで分類した。Aは生産性が低く、同時にストレスも小さい、脇田講師は、『ゆるゆるな状態』と表現した。Bはストレスの大きさは中で、生産性が高い状況にある『いきいきしている状態』。これが理想的だ。Cはストレスが大きく、同時に生産性が低い『へとへと状態』タイプとした。この3つの内、参加者自身の会社はどの枠組みに当てはまるか、ディスカッションして頂いた。部署により枠組みに違いがあり、特に、営業部門はCタイプが多い結果となった。また、驚いたことに、会社でイキイキしている人が集まっているのは海外部門が多いという声が多数あがった。
ではどのように、A⇒Bに、C⇒Bになれるのか。
Aの『ゆるゆるタイプ』には、課題を見つけ、考える、“必要なストレス”を与えるということだ。必要なストレスとは理由・目的をもって考える労力である。
Cの『へとへとタイプ』には、やらされているという“不必要なストレス”をなくし、自分で理解し行動する主体性を持つことである。やらされていると考えるだけで、ストレスの負荷は通常の3~4倍にもなる。
日本の会社は、Cの『へとへとタイプ』が多いのだが、生産性を意識する中でCOSTベースの数字を求めてばかりいる。そうすると、社員は疲弊し、結局短期間でやる気がなくなってしまう。これが現状の働き方改革の導入において、多くの会社が直面している状況だ。これに対し、VALUEベースで見ることが、いかにイキイキした社員を増やせるか、それこそが生産性を上げるために重要であることを強調されていた。
2. 世代差を踏まえたうえで自己を理解し、相手を理解する
生産性を上げるためには、メンバーの個性を生かすことも重要である。ただ、個性は人それぞれで、もちろん上司と部下も違う。そのため、お互い理解できない状況に陥ることがある。コミュニケーションや行動は、自分自身の認知に基づいているため、相互理解にはまずは自分自身の傾向を知ることが大切である。
そこで、物事の捉え方の傾向を把握する認知アセスメントを実施した。このアセスメントでは、承認依存度や、愛情依存度など、いくつかの項目があり、自分のそれぞれの依存度を把握することができる。例えば、承認依存度が高い人は、「自分の価値」は、「他人の価値」で測っている傾向がある。もし、自分の承認依存度が低く、部下を褒めることが少ないとする。このケースで部下の承認依存度が高いと、上手くコミュニケーションが取れないだろう。
参加された皆さんには各グループでそれぞれ自分のアセスメント結果を共有の上、ディスカッションをしていただき、他人との価値観の違いを理解していただいた。
脇田講師によると、認知は固定化されやすいため、固定化されないように、まず自分を知り、相手を知ることが大切である、と伝えていただいた。
つまり、認知の幅を広げることによって、対応の仕方に変化が起こり、他人とコミュニケーションがうまくいくようになるのだ。
参加者のアンケートでは、「ゆるゆる、イキイキ、へとへとの職場状況をしっかりみておく必要がある」「考え方の幅を広げることができた」「個の視野を広げる必要がある」などの回答があり、研究会終了後も脇田講師への個別質問される方が多く見受けられた。
<セッション後に脇田講師、大阪支店長川村、コーディネーターの山名&上村と>