私が10年前に起業したころに持っていた危機感が最近になって表面化してきた。それも、この半年くらいで急激に、である。メディアがグローバル人材を積極的に取り上げ始めたこともあるのであろうが、もう世界で商売をする上で「肝心のヒトが足りない」のである。それも、要である「グローバル課長・部長・経営者」が圧倒的に不足している。
それでは、こうなってしまった原因は何か?
私は「成功の代償」だと思っている。成功とは、日本人が戦後に手に入れた生活の豊かさである。
私がグローバル人材育成の世界に入ったのは24年前であるが、その頃でも大手企業における「国際人材育成」「内なる国際化」のボルテージは決して低くなかった。人材国際化への投資も実際かなりの額が投入されていた。MBA派遣は、1社で年間20人を超えている企業もあった。それだけでも5-6億円の投資である。
それなのになぜ?と思ってしまうのである。その頃の20-30代は、MBA派遣や英語しか使えない合宿や短期語学留学という十分な研修を受けてきたのである。
しかし、今やその研修を受けてきたはずの管理職層は海外赴任に後ろ向きであるし、実際赴任してもスキル・マインド両面で課題を抱えている。その傾向は製造業もサービス業でもそれほど変わりはない。外務官僚から商社マンでも同じ傾向があると聞く。
もう日本にいて安全で穏やかな生活にすっかり満足してしまって、あえて火中の栗など拾いたくない、誰かがやってくれるだろう、というマインドセットなのだ。
しかし、冷静に考えればこのマインドセットは400万円の年収の人が毎年900万円使い1億円の借金があるような国の国民としては分不相応なのではないか?
自分をグローバル対応に変えることを決意しないヒトにこれから起きることは、「成功の代償」、すなわち大幅な生活レベルのダウンなのではないかと危惧している。
写真は昨日のグローバル人材育成研究会(G研)のプレミアム分科会の様子。ファシリテーターはパートナー講師の渡辺パコさん。
4時間のセッションを午前と午後で行った。グローバル人材って何?パートもあったが、パコさん、さすがに深い。ご参加者の問題意識もいい角度である。終了後、ご参加者いわく、「少人数で知的刺激があって贅沢でしたー」。今日は私もよい刺激をいただいた。パコさん、お疲れ様でした。