先週新入社員28名の海外研修の渡航前研修があり講師を務めた。
そもそも新入社員に海外研修を行う目的はなんなのだろうか?
もちろん各社各様の目的があり、特にこうでなくてはならないという正解はない。
英語力アップ、異文化体験、自立、グローバルスキルアップ、採用対策など様々な要素は考えられる。
はっきりしているのは派遣側の企業としての投資としてはかなりの額になるということである。
そしてもう一つは、研修生が何らかの形で「一皮むける」瞬間を起こすことが重要ポイントだということだ。
これはワンパターンの一皮ではなく、人それぞれ違っていい。また、言葉では表現しにくかったりする。
ただ、それらが起きる瞬間というのは、ホストファミリーとの心のふれあいであったり、新興国から来ている人たちから受ける強烈なインパクトであったり、米国やイギリスといった日本とは違う種類の先進国の人々の価値観やライフスタイルを見聞して感じる新たな視点であったりする。
すでにこのブログで現地レポートをしたが、先週までは、他社において6ヶ国7オフィスの新入社員が集まり、マレーシアで9日間の合同研修が行われていた。こちらは強烈な異文化体験のなか難易度の高い内容をぶつけ、限界までやりぬくという体験をプログラムした。研修生もスタッフも講師も本気で取り組まないととんでもないことになる仕組みだ。コンフリクトと調和が連続して起きる。受け身の評論家的姿勢は、最高の瞬間を体験できない。
今後グローバルな舞台でITコンサルタントとしての活躍が期待される新入社員にとっては、一皮むける瞬間が連続して起き、結果として大成功であったという報告を帰国した弊社コーディネーターの別所から受けた。
冒頭の28名の新入社員向け海外研修に戻ると、彼ら、彼女らは10月出発で2ヶ月間米国、イギリス、カナダに留学する。各地で、それぞれ語学力アップおよびグループ別プロジェクトの実施体験、異文化体験を通してグローバルで通用する人間力を磨く研修である。
グループとしては、優秀さと若者らしい荒削りさのバランスのとれたグループというのが私の印象である。
彼ら彼女らのこれからの仕事人生は私が20代であった昭和40年代とは明らかに違う。
「高度成長期⇔低迷する経済、ベビーブーム⇔少子高齢化、明るい未来⇔不透明さを増す未来」とまるで対照的である。
金銭的な豊かさや便利さでは今の時代に軍配があがるが、それ以外は必ずしも若者にとってはポジティブではない。新興国の低賃金だが優秀な同世代との強烈なポジション争いも起きてくるだろう。
今回の海外研修では、一人一人が語学や異文化スキル以外に何かを掴んできてほしい、というのが私の本音である。
それは、折れない心であっても、アサーティブネスでも、将来のありたい姿でもいい。なんでもいいが、20~30年後にも強烈な瞬間として思い起こすことのできるようなもの、自分を変えるきっかけになった瞬間などを、ただ待つのではなく能動的に起こしてほしい。
「計画された偶然」を起こしてほしいのだ。
ぜひ彼ら彼女らには自分なりの「一皮むける」瞬間を見つけ、これからのキャリアを着実に歩んでもらいたい。
写真は当日の様子。