ここ数年ローカルマネージャーのチームビルディングを目的としたセッションのファシリテーションの依頼が増えてきている。少し前までは、ローカルマネージャーを日本に呼ぶ場合は、インセンティブ的な意味合いが多く、4-5日間で社長・役員講話+現場見学+懇親会という形態が一般的で、現状の課題にはあまり入らず、お茶を濁すような形のものが多かった。セッションなどを持つといろいろ不満や対応しにくい提案などが出てきても困るから、というのが大方の理由である。ところが、思い切って実行してみると意外とインセンティブ効果だけではなく、グローバル経営の効率を高めるのに大いに役立つことがわかってきた。
つい最近も弊社クライアントにてローカルマネージャー向けのセッションを弊社講師のDr. James Doughertyのファシリテーションで行ったのでオブザーブしてきた。このセッションはぶっつけ本番ではなく予め、ネット上の Community (掲示板・ファイルアップロード・リンク・チャット機能)を使って、事前ディスカッションを行っている。昨年が第一回目で、タイトルは「Corporate Value」、今回は「How to Make (A社) No. 1」というタイトルで行った。最終日には社長、役員への参加者全員によるプレゼンテーションがある。
そのローカルマネージャーのプレゼンテーションをオブザーブした印象は以下の通りである。
1) 全般的にMBA的なフレームワークを使いこなしていてロジカルでわかりやい。
2) ネイティブではないローカルマネージャーでも英語でのプレゼンテーションに慣れていて、パワフルかつ洗練されている。
3) 国、地域でロジックやプレゼンテーションのスタイルが大きく異なるが、かえってお互いに刺激になりグローバルレベルでのチームビルディングが起きている。
日本人マネージャーは参加していなかったので、比較はできないが他社での事例では、日本人のマネージャーレベルによるプレゼンテーションは上記の1)と2)においては、明らかに見劣りしてしまうことが多い。特に日本人のプレゼンテーションで気になるのは以下の4点である。
a) ロジックの組み立てがあいまいでポイントがない。 b) 声の大きさ、トーン、表情、ジェスチャーなど非言語コミュニケーションが弱い。 c) オーディエンスとのコミュニケーションが少なくワンウエイである。 d) ユーモアを使わない。
多国籍の参加者から成るワークショップ参加やプレゼンテーションに求められる A)コンセプチュアルスキル、B)ヒューマンスキル、C)英語力の3点は日本の学校教育の弱点であることは、最近よく指摘されているが、まさにこういった場面でも表面化していると感じた。
写真はワークショップの風景