先日、第98回G研「押さえておきたい!エグゼクティブコーチングがもたらす
効果とその活用法」を開催した。
第一部では私から、
「今さら聞けない、でも知っておきたい!エグゼクティブコーチングとは?」
と題し、エグゼクティブコーチングが求められる時代背景、
人材育成投資における盲点として軽視されてきた人選とキャリアパス
についてもお話しした。
まだまだ、日本では本格的にエグゼクティブコーチングを導入している企業は少ないが、
General Electronics、ジョンソン・エンド・ジョンソン、P&G、
ファイザーなどのグローバル企業が取り入れているのは有名な話である。
別にこれらの企業のやり方を模倣すべし、という訳ではない。
しかし、先の見えない時代には、トップのリーダーシップと先見性がマーケットでの勝敗を
決定づける。
リスクを取り思い切った戦略を打てるかどうかは以前にも増して重要性が高まってきている。
そこで、優秀な人材を更に上のレベルまで引き上げるエグゼクティブコーチングが
日本企業にも注目されてきているのではないか。
トップレベルのグローバル企業は、
世界のAクラス人材を採用・評価・配置・育成するノウハウがある。
しかし、まだ多くの国内グローバル企業は、
日本のAクラス人材、それも男性を中心とした人材構造から抜け出れない。
成果主義も差をつける評価制度への賛成派反対派の
バランスを保つための妥協の産物的な制度であることが多い。
しかし、競争の激化する中、課題が浮上してきた。
優秀な人材ほど差をつけない評価制度は嫌いである。
年間10億円の利益をもたらす人材と、
1億円しか稼げない人の年収差が2倍以内というのは、
できる人には納得しがたい。
日本のような社会でさえ、もっと自分を正当に評価してくれる居場所を探し始めてしまう。
優秀な営業マンや技術者のうちマネジメント力も同等に兼ねそろえる人は3-5%程度である。
その結果、専門分野で功績があった人材がマネジメント力があるか否かを問われずに、段階的にリーダーシップもマネジメントスキルも習得できていないまま、部門や事業のマネジメントに携わっている上層部も多いように感じられる。
この弊害は計り知れない。ガバナンスが機能不全に陥るからだ。
高度成長期は差をつけない社会主義的な制度のメリットが大きかったが、
人々の価値観も多様化し、そろそろ評価制度の見直しもリーダー育成方法も
大幅な修正が必要なのではないだろうか。
第二部では、堀口講師より「堀口流エグゼクティブコーチングメソッド」を
事例を交えて詳しくご説明いただいた。
堀口講師のエグゼクティブコーチングは、コーチングを受ける人の信念や価値観を聞き取り、
心の中に存在している答えを引き出すだすことが特徴である。
また、クライアントが使っている「言葉」に注目し、
言動を変化させることで周りへの影響力を高め、リーダーシップを確立させる。
今回は、実際にご参加いただいた皆様に、
エグゼクティブコーチングのデモンストレーションを体験いただいた。
自分自身が抱えている課題の根本的問題は何なのか、
どのような不安を感じているのか、それは心理的不安か、物理的不安かなど細かく検証し、
的確なアドバイスをお一人おひとりに助言いただいた。
エグゼクティブコーチングというと、
役員や重役向けというイメージがあるだろうが、
堀口講師のコーチングは、管理職も対象であり、
その他にも、モノ作りを行っている工場長などにも大変効果的である。
上に行けばいくほど、不安や悩みが増え、人間関係もより複雑になる。
そんな上層部には、変化に必要な人間関係のコーチング、
また、自分自身の強み・弱みを理解し、コミュニケーションスタイルに対しても
的確にアドバイスをくれる存在が必要になる。
今後、世界で戦う優秀なリーダーを送り出していくには、
エグゼクティブコーチングは、必要不可欠になると改めて思った一日であった。