9月2日(水)にG研38回を開催した。今回のゲストは、UCバークレーHaas School of BusinessのIsaacs氏である。ご登壇は今回で3回目である。
内容は「技術系人材(技術者、研究者)のキャリアパスをどう考えるか」。
技術系企業にとっての人材育成の永遠の課題の一つに「マネジメントできる技術者・研究者をどう育成できるか?」がある。
今回は、Isaacs氏よりUCバークレーのMOT(技術経営)プログラムで実際に講義されている内容の一部をお話頂くという企画であった。
そこで紹介された「マネジメントとリーダーシップ」の違いが非常に興味深かった。
それぞれが管理するものと意思決定することの2点で比較している。
「マネジメント」
管理するもの: 予算、スタッフ、ベンダーなど
意思決定すること: 自身がコントロールできる対象
「リーダーシップ」
管理するもの: 顧客、競合、経済、為替、メディア
意思決定すること: 自身がコントロールできない対象
マネージャーとリーダーの本質を捉えていて非常に分かりやすい。
もちろんどちらが良い悪いではなく、必要とされるスキルに非常に大きな違いがあることを明確に示している。
スキルに大きな違いがあるため、従来のキャリアパスである「20代エンジニア⇒30代マネージャー⇒40代リーダー」という流れは自然には成り立たない。
それは「まるで歌手にダンサーになれということを要求しているようなものだ」との例えに、会場が笑いに包まれた。
では、上記のキャリアパス実現には何が求められるのか?
①リーダーが、それぞれの人材のキャリアの早い段階でマネージャータイプかリーダータイプかを見極める
②そして、それぞれに求められるスキルを考慮したトレーニングの用意
この2点なしでは、その実現は困難なものとなる。
ちなみに、米国企業のCEOの約50%は技術出身ではなく、セールス出身であるのは、 セールスという仕事に求められるスキルはリーダーシップの内容に近いからである。
また、日本通のIsaacs氏の見立てでは、米国の企業には優秀なリーダータイプは沢山いるが、マネージャータイプが少ないため、「船頭多くて・・・」の状態になりがちで、日本企業は逆に優秀なマネージャーが多く、リーダータイプが少ない(特に技術系企業には)という印象を持っているそうだ。
当日は、その他、エクセレントカンパニーに向けての5つのステップが紹介された。
いずれも興味深いコンセプトであった。
内容は別途ホームページでの報告書に書き記したい。
参加者からは、「革新的だった」、「明快なコンセプトで目からうろこ」、「新たな視点が得られたように思う」、「自社に置き換え、いろいろと考えさせられた」と反響も大きく、トップビジネススクールの一端に触れて頂いた有意義な会となった。
写真は当日の模様。