15年位前に西海岸のビジネススクールを訪問したときに、クラスルームの前に『Leadership vs. Management』というボードがあり、その真ん中のvsという文字が気になってしばらく立ち止まって眺めていた。リーダーシップとマネジメントが対立??。
今週は、UCバークレー(Haas School of Business)のAndrew Isaacs氏を招き、グローバル人材育成研究会を開催した。会の様子は近日中にレポートさせていただく。
Isaacs氏の話を聞きながら思い起こしたのが、冒頭に述べた15年前のボードである。企業経営や政治の世界においても古典的な課題である。
リーダーシップ型とマネジメント型の企業があり、リーダー型とマネージャー型の人材がいるというIsaacs氏の話は面白い。彼がトレーニングを担当する様々な企業のカルチャーが比較され紹介されていく。組織風土がいかに重要か彼は力説する。シリコンバレー企業、人材の最新動向が、UCバークレーにはあふれんばかりに集まっていく様子がよくわかった。
話は少しそれるが、日本の直近の総理大臣は私の観察ではこんなイメージである。
小泉さん リーダーシップ>マネジメント(細部は詳しくないが、人をモチベートできる)
安倍さん リーダーシップ=マネジメント(バランスがよいが他の要素でうまくいかなかった)
福田さん マネジメント<リーダーシップ(細部に詳しいが、人に無関心)
小泉さん待望論が多いところから見ると、2008年の日本人はリーダーシップ>マネジメント型が好みである。なぜか?ビジョンがあり、それを表現できる。汚い世界に無縁な感じがある。時代がそんなタイプを求めている。わかりやすさ、がそこにはあると私は思う。
企業の次世代幹部(30-40代)に何を求めますか、という質問を企業のトップに問うと最近はこんな答えが多い。『人を引っ張っていける能力、ビジョンを打ち出せる人』。
細部に詳しく、真面目、協調的な人材は必要である。だが、ビジョンがあり、人をモチベートしインスパイア(鼓舞)できる人材は、明日の見えにくい時代には希少性がある。
『Leadership vs. Management』
変化の多い中では、リーダーシップ型の人材が求められがちだが、決して優劣や対立軸ではなく、個々の人材がリーダー的な自分と、マネージャー的な自分を持ち、それらを状況に応じて発揮することが求められている。リーダーとして活躍する人物が、この枠組みをよく理解し日々自らを鍛えていることは意外と知られていない。
写真は研究会の様子とIsaccs氏(両側は弊社福田聡子と私)