10月15日(火)に、当社パートナー講師の山本紳也氏をお迎えし、第188回G研「デジタル・トランスフォーメーションに挑む戦略人事の新ステージ!~人事に求められる、デジタル時代に勝つ組織開発~」を開催した。
学ばない日本人ビジネスパーソン?誰をどう育成するのか?
私からは上記のタイトルで皆様とディスカッションさせていただいた。少々刺激的なタイトルではあるが、最近の調査でこのような結果が出たのだ。
「自分の成長を目的として、社外での学習や自己啓発活動」に対して「とくに何も行っていない」と答えた人が、日本はなんと46.3%もおり、これは調査対象の14ヶ国・地域の平均の13.3%を大きく上回ってワースト1だ。
「現在の会社で管理職になりたいと感じるか?」という問いに対しても、「そう思う、ややそう思う」の合算値が21.4%のみで最下位なのだ。
(出典:「APAC就業実態・成長意識調査(2019年)」(パーソル総合研究所))
複雑で先行き不透明で不確実な世界で、世界中の企業が生き残りをかけて戦っている。先日のラグビーの日本代表対南アフリカ戦を見ていても、明確なビジョンを持ったメンバーが、1つの目標に向かって強いチームを作りあげていたからこそ、負けはしたが明らかに次につなげる希望を与えてくれた。
今回のテーマであるデジタルトランスフォーメーションについても、様々な業界の仕組みが音を立てて変わろうとしている大変動の時代だ。人口減、少子高齢化という大きな課題も抱えた日本企業を支えるビジネスパーソンだけがそんなにのんびりしていてよいのだろうか?
ある意味ビジネスもスポーツも同じである。勝つ者も負ける者もいるのだ。チームのメンバーが努力もしない、学ばない、リーダーにもマネージャーにもなりたくないのであれば先が暗い。
もちろん、企業の管理職は、本当に非常に忙しい。ただ、 今までのやり方や価値観で仕事をしているから多忙になってしまう側面もある。
未来について想像し、事業の、自分の未来を考える時間を持てているだろうか?その時間がないと、それに対する自己研鑽の時間が作れない。それに対して私は大きな危機感を感じている。
デジタル時代に必要なのは、Learning Animals、つまり、「学習を続ける」人材、そして過去の成功体験を「UNLEARN」できる能力である。私のブログでも繰り返しお伝えしているが、100年ライフに置いては特に重要になってくる考えだ。
デジタル・トランスフォーメーション時代に求められるリーダーの条件
今回は、当社パートナー講師で、最近はビジネススクールIMDのLearning Manager & Business Executive Coachも務める山本紳也氏に解説をお願いした。まずは、デジタル・トランスフォーメーションについて簡単に整理をしておきたい。
「デジタル・トランスフォーメーション」というと、どうしても事業や業務をどうデジタル化するかという会話になりがちだ。しかし、それでは、成果主義と言われた時代に、人事制度を作ることが目的化し、現場から使えないと言われてしまった二の舞になってしまう、と山本講師は強調する。そう、デジタルはインフラであり、環境なのだ。
そのデジタルをどう活かし、デジタル時代に起こる変革を正確に捉え、デジタル時代をどう牽引していくか?
デジタルも含め、様々な変化が起こっている中で、冷静に自社のポジションを把握し、置かれている環境変化をしっかり捉え、アジャイルに戦略を考え、時代を創っていく、そんな組織と人材はどのようなものか?当日はそれをメインに議論した。
IMDのマイケルウェイド教授によると、デジタルとは、「つながること(コネクティビティ)によって可能になる、複数のテクノロジーイノベーションが融合する世界」のことだ。つまり、デジタル・ボルテックス(渦巻き)の中では、ほぼすべての産業に崩壊もしくは劇的な変化リスクが存在する。そのような中にあって、一人ひとりが自社はどんな付加価値を提供できるのか?を真剣に議論する必要があるのだ。現在、日本企業では「デジタルビジネス推進部」のような専門部署が担っていることが多い。ただ、専門部署だけが推進するのではなく、全社的に取り組む重要性を山本講師は強調している。
対談では、ご参加いただいた皆さんと一緒に、デジタルトランスフォーメーション時代におけるリーダーの条件や人材育成について、主に議論させていただいた。
組織としては、
- 最近の企業変革の事例と社員に送るメッセージの重要性
- 「変わらない社員」、まずはどこから手をつけるのか?
- 「変化を起こしたい社員」、どう支援するのか?
個人としては、
- 目の前の問題解決だけではなく、制約条件を取っ払い柔軟に考えることの大切さ
- それに対してダイバーシティ環境が与える示唆(自分と同じような考えをする人だけに囲まれていると、発想力・ひらめき力が鈍る)
- 「知っている」ことと「出来る/やれる」ことを区別し、まず行動してみること
- 自分らしいリーダーシップであるオーセンティックリーダーシップの重要性
今回もご参加いただいた皆さんと有意義な議論が出来たことに感謝したい。ご来場いただいた皆様には、人材育成計画のヒントになったものがあれば幸いだ。
終了後に山本講師、当社専務の福田と。
次回のG研はトレンドマイクロ株式会社様をお招きし、グローバル人材育成の事例発表、そしてご参加いただく皆様との議論を中心に進めていく予定だ。トレンドマイクロ様では、“キャリア自律”という考えを人材育成の根幹に掲げ、一人ひとりの成長を支援するため、様々なユニークな施策を展開されている。今回発表いただく事例については、ビジネスの課題解決のためどう人材育成をしていくか?をベースに考え、実施いただいているものだ。ぜひご参加いただきたい。
2019年11月11日(月) 13:30-17:00
グローバル人材育成プログラム事例発表 & ラウンドテーブルディスカッション!