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2月21日(木)に第178回G研
「『経営人材育成』を見直しませんか?
ロジックとパッションの両立で実現する『4つの要素』とは 」を開催した。
平成日本 失速の研究 日の丸半導体 4つの敗因
第一部の私のパートの冒頭では、
先日の日本経済新聞に載っていた「平成日本 失速の研究 日の丸半導体 4つの敗因」(2019.2.18)という記事からお話させていただいた。
その記事の中では、下記のような指摘がされていたのだが、私が危惧しているのは、まさにこれと同じ過ちを繰り返そうとしているのではないか、ということだ。日本の強みであったはずの半導体がなぜグローバル競争で優位性を失い、「逃した魚は大きい」と言われてしまうほどになったのか?
“「経営者の質」を問題視するのは元エルピーダメモリ社長の坂本幸雄氏だ。半導体のようなグローバルと戦う企業は、トップ自らがアンテナを世界に張り、必要なら現地に飛んで直接交渉する。それだけの人脈や能力が必要だが、「残念ながらそんな人はごくわずかだった」という。経営陣のアンテナが低く、日本勢同士の競争に関心が偏ったという指摘である。” (同記事より引用)
日本型リーダーは、例外も多くあるが、調整型や人格者が実績を積み上げてトップに上り詰めていくことが多い。
VUCAの時代のリーダー像も同じでよいのだろうか?
「教養ブーム」に抜けている視点
私がもう一つ危惧していることがある。
それは、人材育成における「教養ブーム」だ。過去30年間の研修業界を振り返ってみると、その時々に「ブーム」ともいうべき波がある。ここ数年は、「うちの幹部には教養が足りないから教養をつけさせろ」という教養ブームが続いているように思えるのだ。
ここには、「教養とは何か?」「誰に何を身につけさせるのか?」という根本的な議論が抜けているように思える。極端なことを言えば、グローバル会議でプレゼンスを出すためのディベート力や思考力が不十分な人に、「地政学や歴史や宗教」が優先するのかと思ってしまうのだ。誤解がないように言うと、教養は必要である。ただ、本来であれば大学までで時間をかけて、じっくり基礎的な教養を身に付けるのが本来の姿である。40代の経営幹部候補が何日もかけて付け焼き刃的に教養を身につけるというのはいかにも無理があるのではないか?と思ってしまうわけである。
グローバル・テクノロジー・デザイン・リベラルアーツを取り入れたバランスの取れた経営人財育成
これを何とかプログラム化したい、
そんな課題意識を持っている時に出会ったのが泉本講師だ。
今回泉本講師からは、この課題を語っていただきたいとお願いし、発表していただいた。
業界の垣根が恐るべきスピードで崩れてきている今、新しいテクノロジーによるディスラプション(破壊)やリプレース(置き換え)が現実となっている今こそ、マクロ環境分析・未来洞察が重要になってくる。教養がある人とは、単なる物知りではなく、自分の軸をもってそれらの分析や知識をつなげ、リンクすることが出来る人だと泉本講師は言う。どのような視点で過去・現在・未来を見つめるのか?その軸が重要になる。その軸づくりこそがリーダー育成の領域だ。
当日の議論では、ご来場いただいた人材育成ご担当者の方々と、下記のようなテーマについて議論をした。いずれも簡単な結論が出ないし、各社の置かれている状況やグローバル化のステージによって答えは異なってくるだろう。ただ、社内で議論を深めるにあたり、人材開発担当として自らの軸を持った回答を持っておくことは重要だ。
- 「社長や経営トップ」の要件
- 人材開発の立場から、サクセッションプランにどう関与すべきか?
- グローバルリーダー育成と彼ら・彼女らを活かす組織デザインを同時並行で取り組む重要性
終了後に、泉本講師と当社専務の福田と一緒に