布留川 勝の人材育成の現場日記

メラビアンの法則と英語力

2009/12/31

英語力底上げ

今月のソウル出張ののホテルでの話である。到着した日に、私は3時半にホテルでのミーティングがあった。2時にはホテル着のつもりだったのだが、大渋滞に巻き込まれ到着したのが、3時半ぎりぎりになってしまった。だが、ホテルはサービスに関しては超一流を誇るホテルであり、すぐにチェックインすれば間に合うはずであった。ところが、フロントであり得ない言葉を聞いた。『大変申し訳ないのですが、バスタブのない部屋しかご用意できません。その代りスパの利用料をサービスいたします。』真冬のソウルでバスタブない部屋という選択肢は考えにくく、私にそのオファーを断られたそのフロントマンは15分以上、端末をたたきようやくバスタブ付の部屋を探しだした。キーを受け取り、部屋に行くと、今度はそのキーではドアが開かない。メイドさんに頼み、フロントから人を呼んでもらったが、それまで10分弱かかった。スーツにも着かえられず、結果として打ち合わせには30分も遅刻することになり相手に迷惑をかけてしまった。

このようなことがないように、選んだホテルであり、過去になんども泊ったこともあるが常にサービスは最高であるこのホテルらしくない出来事であった。

出発前日に、やはり話すべきだと思いカスタマーサービスの責任者を呼んでもらい彼にこう話した。
『私はこのホテルの大ファンである。10数年前にボストンで泊ってから今まで7-8か所で使わせてもらっている。それと、御社のモットーである“ We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen.” は私も人材育成の仕事の中で使わせて頂いている。ただ、今回チェックインの時に起きた対応は御ホテルらしくなく、がっかりした。調査いただき今後このようなことなことがないようにしていただきたい。尚勘違いしていただきたくないが、このことは、部屋のアップグレードやなにか別のサービスを期待しているわけではない。』

その日の晩、フルーツとデザートの入ったボックスが部屋に届けられ、責任者の部下らしき人物から電話があった。英語力が低くよくわからないのに加え、ただ謝罪し続けるので、一応聞いて電話を切り、責任者に話したことを後悔した。私は、このことを部下にやらせることと電話での謝罪の仕方の稚拙さに余計失望してしまった。

ブランドマネジメントは難しい、とその時思い、私の会社も気をつけなければと自分に言い聞かせた。

チェックアウトの時、私がキーを戻すとそのフロントマンは今回のことを謝罪し次回の宿泊では部屋がアップグレードされる旨を述べた。ただ、私としてはフルーツバスケットやこのようなマニュアル化したサービスにはそれほど感動しない。すると私の後ろから、私に電話をしてきたカスタマーサービスのマネージャーが話しかけてきた。私のチェックアウトを待っていたのだ。そして、改めて謝罪を始めた。
私は、少し驚いた。その言葉は電話での会話と少しも変わらないが、彼の表情や真摯な態度には心が動いた。彼がこのホテルの仕事にプライドを持っているのが伝わってきた。もし彼の母国語でコミュニケーションをとれば電話での謝罪もまったく問題がなかったのだろう。

電話では、英語力がダイレクトに問われてしまう。グローバルビジネスにおける英語力の重要さを再確認した。

なるほど、これがまさに私もよくグローバルスキルの一つとしてコースで使うメラビアンの法則(コミュニケーションにおいて相手に影響を与えるのは、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%)だ。
電話では彼の英語力の低さと表現の稚拙さだけがネガティブに伝わったが、非言語の部分を重ねて体験することでまったく印象が違う。メラビアンの法則は頭でも理解し、ビジネスでもよく経験するが、今回の経験は強烈な印象として残った。思い込みや決めつけは厳禁である。

私は、出発直前にソウルに来たらまたこのホテルに来よう、と思った。

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Choco1今年も、本日で最後である。皆さんにとって今年はどんな年でしたでしょうか?

私にとっては、皆さまからのご支援や温かいお言葉に支えられ、さまざまな新しいことに着手できた充実した1年でした。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
よいお年をお迎えください!

写真は年末からずっと私の相手をしてくれている愛犬のチョコ

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