IMDは、スイス・ローザンヌにある世界的に著名なビジネススクールだ。
そのIMDの看板プログラムといえる、エグゼクティブ向けのOWP(Orchestrating Winning Performance)というプログラムに、今週、当社の海外研修コーディネーション部のマネージャーの布留川瑛美が参加している。
現地から面白いレポートが来ているので、ぜひ紹介したい。
今回のプログラムには、世界中の200社以上から450名以上の参加者がローザンヌに集まり、グローバルビジネスの将来について議論している。様々な国籍のビジネスパーソンが集まっているため、文字通り、グローバルな環境での議論になる。
世界の動向と自分のビジネスへの影響を分析するセッションをファシリテーションしたのは、なんと34歳の教授。起業家精神とDigital Disruptionが専門で、IMD最年少の教授だそうだ。議論のスピード感とオーディエンスの巻き込み力が巧みで、参加者の納得度も非常に高かったそうだ。
キーノートスピーカーでは、チュニジア出身の世界的にも著名な人権活動家が講演をしたそうだ。狭義の意味での「ビジネス」だけにフォーカスするのではなく、グローバルビジネスに影響を及ぼす可能性のあることすべてに意識を向けよう、というコミットメントが感じられるプログラム構成が素晴らしい。
ただ、ビジネススクールのエグゼクティブ・エデュケーションの醍醐味はやはり、多様な参加者との交流から得られる刺激だ。今回、布留川瑛美も超優秀で野心的なグローバルな参加者から刺激を大いに受け、Who am I and how can I contribute to the world?という問いを改めて考えさせらえたという。
例えば、ヨーロッパの食品メーカーで最年少のオペレーションマネージャー(ポルトガル人)は工場の稼働率をコントロールするアプリを格安で作り、サプライチェーンの効率化を図ったそうだ。グローバル海運企業で16年HRをやっているインド人は、HRという立場から各国で起きている問題解決を主導している。例えば、ナイジェリアで工場長と社員のコミュニケーション改善のためのセミナー講師をしたり、バングラデッシュでストライキが起これば、双方が納得する形で早期の問題解決を自ら図ったり、という具合だ。
実際にそういうことを行っている人と会話をし、食事をともにし、議論する。このような機会を通じて、自らをより強く、しなやかに変革していくのがエグゼクティブ・エデュケーションだ。1週間という凝縮された時間にいかに自分のプレゼンスを出すか?そのためには、入念な準備が必要だ。ビジネススクールで話される英語というのは、情報のやりとりとしての英語ではなく、自分がどうありたいか、というリーダーシップの英語だ。
時々、ビジネススクール派遣者は「英語ができる」ので、事前準備は必要ない、とおっしゃる方がいらっしゃるが、その場合の「英語ができる」とは具体的に何を指すかを考えることが重要だと思っている。普段の業務で使う英語と、人を動かす時に使うリーダーシップの英語は異なる。リーダーシップの英語を習得するためには、語学そのものに加えて、自分のビジョンや過去の業績をどう整理して語るかも重要だ。せっかくの投資をフルに生かしていただくため、当社では、ビジネススクール派遣前には必ず事前準備セッションを受講いただくようにしている。
トップビジネススクールのエグゼクティブ・エデュケーションへの派遣は、リーダー養成としてリターンの大きな投資だ。私自身も引き続き、このようなプログラムの真の価値を広めていきたい。