2018/1/19(金)に、ハーバードビジネススクールをお招きして第160回G研を開催した。
コーポレートリレーションディレクターのMr. Philippe Labrousseや、
日本リサーチ・センター長の佐藤信雄氏の他、
実際にプログラムに参加された参加者お二人もお招きして、貴重なお話をいただいた。
盛りだくさんな内容の研究会だったため、2回に分けてその様子をお伝えしようと思うが、
今回は、エグゼクティブ・エデュケーションについて知っておきたい、
下記の4つのポイントをお伝えしたい。
1. エグゼクティブ・エデュケーションとは?
2. なぜ、いまエグゼクティブ・エデュケーション?
3. どういった人材を派遣すべきか?適応できる幹部をどうプールする?
4. 事前研修と事後の仕掛けの組み合わせで成功に導く
1. エグゼクティブ・エデュケーションとは?
ビジネス・スクールが提供している最高峰のビジネスプログラムだ。
かなりおおざっぱな説明になってしまうが、下記が大きな特徴だ。
◆ MBAとは違い、学位は授与されない
◆ 最短で3日間程度、最長で2ヶ月ほどのプログラム
◆ 企業独自のプログラムを組むこともあれば(カスタム)、世界中の様々な企業から派遣される人と一緒に学ぶプログラムもある(オープンエンロールメントプログラム)
◆ オープンエンロールメントプログラムの場合、個人で参加する人もいるが、会社派遣で選抜されて参加する人が圧倒的に多い
◆ オープンエンロールメントでは、大きく分けて3つほどの階層別のプログラムに分かれていることが多く、キャリアのどの段階にいるかによって、参加すべきプログラムが変わってくる。例えば、1プレイヤーからリーダーになるためのプログラムや、10年間P/L責任を持ってある事業を牽引してきたリーダーが、全社を俯瞰的に見てリードできるようになるためのプログラム、などだ。
◆ ビジネススクールの中でも実力トップの教授が集まっている場合がほとんどで、世界中で人気教授の引き抜き合戦が行われている
2. なぜエグゼクティブ・エデュケーションが注目されているのか?
エグゼクティブ・エデュケーションは、間違いなくグローバルリーダー育成の場として最高峰の場である。世界トップの教授とグローバル各社のトップタレントが意見を戦わせ、自分自身のリーダーシップを見つめ直す。このプログラムを自社のサクセッションプラン(後継者育成)の一部として組み込むグローバル企業は非常に多い。また、国境を越えたM&Aが増加していることもあり、PMI(合併後の統合)をリードできる人材は世界的にも枯渇気味だ。そのようなポテンシャルのある人材に投資するグローバル企業は多い。
日本では未だに、日本語での経営塾を行い、グローバル対応が必要な社員には、それに加えて英語レッスンを個別でつける、ということを行っている企業もある。しかし、そのような日本語での経営塾は機能不全に陥っていると言わざるを得ない。VUCAワールドでビジネススピードが格段に速まり、最新情報は英語で発信されているにも関わらず、日本語だけで閉じた世界で、グローバルビジネスをけん引する人材が育成できるのだろうか?
3.どういった人材を派遣すべきか?適応できる幹部をどうプールする?
言わずもがな、自社の次世代を担う人材を階層ごとに派遣すべきだ。
ビジネススクールは階層ごとにいくつかのプログラムに分かれている。キャリアのどの段階にいるかによって、それぞれにプログラムのゴールや内容が異なるため、派遣人材とプログラムゴールのマッチ度が重要である。ただ、どのレベルのプログラムに派遣するにしろ、日本企業に共通した課題というのは、このようなエグゼクティブ・エデュケーションに適応できる幹部輩出が出来ていないというものだ。先に述べたような日本語での経営塾や、英会話レッスンを通じてグローバル人材育成を行ってきた時代が長く、残念ながら、自社のビジネス戦略にマッチする長期的人材戦略が欠如している企業が多い。ここに来て、この問題が表面化しているのだ。
この問題に対するソリューションは、ただ一つ、まるドメ派(まるでドメスティック)のAクラス人材に腹をくくってもらい、1年間かけてグローバル人材に変身してもらうことだ。グローバルビジネス、および海外ビジネススクールのエグゼクティブ・エデュケーションに必要なスキルは多岐に及ぶ。インプレッションマネジメントやアサーティブネス、プレゼン、ファシリテーションスキルなど様々だ。それらのスキルを英語で学び、実践できるまで身につけてもらうような研修を行うのだ。そうして、エグゼクティブ・エデュケーションに適応できるような人材をプールし、その中から最適な人材を最適なタイミングで派遣する。そうすることによって、投資効果を最大化するのだ。
4.事前研修と事後の仕掛けの組み合わせで成功に導く
派遣者が決まれば、エグゼクティブ・エデュケーションで成果を残せるように事前準備を行う。アセスメントやカウンセリングを通じて、その派遣者がプログラム前に身につけるべきスキルやフレームワークを洗い出す。たいてい、このようなプログラムで選ばれる派遣者は、現業で非常に忙しい優秀な人材だ。そのような人材の時間を最大限有効に活用できるよう、凝縮された内容で事前準備を行う場合もあれば、英語自体の底上げが必要で、1-2年間かけて語学力の向上から事前準備を行う場合もある。
当社では、エグゼクティブ・エデュケーション派遣を「単なる派遣」に留めず、サクセッションプランの一部として位置づけ、各社の状況に応じたトータルソリューションを提供している。説明会やアセスメント、個人コーチングや事前研修(国内外含む)、派遣者のモチベーション維持、そしてそれらのトータルマネジメントやスキーム作りまで行っている。そうした中で培ったノウハウも多いので、エグゼクティブ・エデュケーションへの派遣を検討されている場合はご相談いただきたい。
G研では毎年、様々なビジネススクールの担当者を招いてお話をいただいているのだが、今回は特に、エグゼクティブ・エデュケーションへの関心の高まりを感じた。やはり、各社で、サクセッションプランの一環として、海外ビジネススクールのエグゼクティブ・エデュケーションを活用し、真のリーダー人材を育てていくという本気度が高まっていると感じる。
次回は、ハーバードビジネススクールの内容と、実際に参加された方のお話をお届けしたい。
<終了後、ディレクhttp://G研報告ターのMr. Philippe Labrousseと一緒に>