7/15(水)に「今だからこそ、改めて問う、リスペクトを受けるリーダーに求められるものとは」というテーマで、古森剛講師をお招きして、オンラインG研を開催した。古森さんは、コンサルタント、ファシリテーター、講師としても最も注目されている人物であるが、個人としても多くのフォロワーを持つリーダーである。
古森さんが語る「リーダーシップに詳しい人」と「リーダーとして生きている人」という問いは、リーダーシップの理論を語り、それを生業としている人にとっては耳の痛い言葉かもしれない。ただこの両方を兼ね揃えている人は意外と少ないのではないか。
優れたリーダーシップの専門家が優れたリーダーではない事はよくあることで、逆に優れたリーダーが必ずしもリーダーシップについて語れるとは限らない。
しかし、社内に「リーダーシップに詳しい人」をたくさん育成しても、「リーダーとして生きている人」が、各部署に面展開できていなければ組織が活性化されないだろう。
第一部では、私から最新動向として日本のリーダーを取り巻く環境について最近感じていることをシェアさせていただいた。
昨今様々なデータが日本の地盤沈下について警告を発してきている。都心や関西の各業界上位企業のサラリーマン・サラリーウーマンにとってはあまり実感がないかもしれないが、最近HSBCホールディングスが発表した「各国の駐在員が住みたい国ランキング」では、日本は調査対象33カ国中32位。ランキングの1位はスイス、2位はシンガポール、3位はカナダ、4位はスペイン、5位はニュージーランド、6位はオーストラリアで、逆に日本より評価が低かった最下位の国はブラジル。
治安も良く食事もおいしい、交通機関も効率が良い日本は、なぜ高スキル高賃金人材にとって魅力のない国 になってしまったのだろうか。それだけではなく、低賃金外国人労働者にとっては母国の賃金はじりじりと上がってきており、賃金上昇がストップしている日本で働くメリットは徐々に薄れてきている。今後少子高齢化がますます進む中で、高スキル高賃金人材からも、低賃金人材からもそっぽ向かれてしまったら日本経済が立ち行かないだろう。香港がアジアの金融センターの地位を失いつつある今、なぜか東京は代替地として名前が上がってこない。政治家、官僚、企業のリーダーたちはこの数十年間何かを間違ってしまったのだろうか?
私のパートでは、上記の環境の中で、組織活性化のために誰にどう投資するのか?それぞれがリーダーシップを発揮するために何をすべきかを述べさせていただいた。この部分は長くなってしまうので、また改めて書かせていただく。
育成とは無理の処方(ストレッチ)
第二部では、当社パートナー講師の古森氏から、「リーダーシップの理論に詳しい人ではなく、リーダーとして生きて実践する人をいかに育成するか」という文脈で、シンプルで本質を突いたお話をいただいた。古森講師の言葉を借りると、「育成とは、無理の処方(ストレッチ)」だ。今の限界を超えるような試練があり、それを「無理」をしながらなんとか乗り越えていくことで、その人の出来ることが広がっていく、それが結果として成長につながる、という側面がある。
ただ、その「無理の処方」に対して個々人がどう向き合うかは、普段からの組織内での信頼関係によるところも大きい。つまり、このリーダーのためなら、この組織のためなら自分の力を貸そう、と思えるような信頼関係を日々築いているか?それが組織と人の成長に大きなカギを握る。私のコースでもよく言うことだが、変革や成長には痛みが伴う。現状維持はやはり楽だからだ。それを乗り越えて、無理をする方もさせる方も信頼関係で結ばれているのか?無理をさせる(育成する方)は、この人なら出来る、とその人の潜在能力を信じているか?無理をする方は、このリーダーについていけば、まだ見ぬ新しい世界を見られると信頼しているか?特に、今のような変化の激しい時代で成長し続けるためには、この相互の信頼が重要になってくる。
対面とリモートの融合で行うオンラインG研の意義
オンラインG研は、リアルの対談形式で行わせていただくことも多い。つまり、講師の方にはリモートで出演いただくのではなく、当社の代官山オフィスにお越しいただき、私や専務の福田と対面で対談をいただき、それをオンラインで発信する形式だ。終了後、古森さんからはこの形式について、「物理的オフィス空間から湧き上がる雰囲気も伝わるし、放送側関係者内における掛け合いの即興性や動作の円滑性も得られるので、完全分散型とはまた違う価値があります。この形式の場合、放送側が集まる場としてのオフィスの質感やロケーションはやっぱり大事で、G社さんが代官山にレンガ調のオフィスを建てたことは奏功してます。」というコメントをいただき、私が実現したかった世界を共有できたようで嬉しかった。先日、ハーバードビジネススクールとオンラインG研を行った際も、配信をしていた当社スタッフの動きやチームワークについてのお褒めの言葉をいただき、確かな手応えを感じている。
終了後に古森講師、当社専務の福田と一緒に。