先週、ある企業様でUCバークレーとスタンフォードの教授陣のセッションをコーディネートさせていただいた。
仕事柄シリコンバレーの情報は東京でも入ってくる。
しかし、そのど真ん中で戦っているトップスクールの教授の話は
やはり臨場感があり、インパクトがある。
今回はその内容の一部をシェアさせていただく。
参考までに、デジタトランスフォーメーションとは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる(ウイキペディア)」という意味である。
デジタルトランスフォーメーションはどんな業界にも影響を与える。
それを否定する企業は少ないだろう。
ただシリコンバレー企業が、どのような戦略で本当に何をしようとしているのか、
そしてその結果、近未来に何が起きてしまうのかを正確に理解している企業は意外と少ないのではないか。
その理由は、人材である。デジタルトランスフォーメーションを正しく理解していない経営陣、マネージャー、社員が構成する組織に、デジタルトランスフォーメーションは起きないのである。
私も以前は、知識として十分に理解しているつもりだった。
しかし、日本のグローバル企業の多国籍セッションをシリコンバレーでコーディネートするために
現地でつぶさにその現場を体験して、自分が全くわかっていなかったことを理解した。
世界中のトップタレントを集めるため、スタンフォード大学やUCバークレーが学生ビザを発給し、世界中の投機マネーが溢れ、1%の成功のためにリスクを取る組織と人。
世界のトップ教育機関と最もイノベーティブな企業が共存し巨額の富を創出し、そのマネーを再投資するダイナミズム。
そんな超資本主義世界だから起きるイノベーション。
シリコンバレーと中西部のアメリカは全く違う。
今回のセッションで再度痛感したのは、デジタルトランスフォーメーションをわかったつもりでいるのは危険だということだ。
デジタルトランスフォーメーションに遅れをとると、デジタルディスラプション(disruption)の影響を受けてしまう。すなわち自社の事業が破壊されてしまう。
例をあげれば、アマゾンの出現により、米国の小売業は壊滅的な打撃を受けている。
ただ、影響があるのは、小売業だけではない。
アマゾンなどのもともとデジタルな会社は、そもそもトランスフォームする必要がない。彼らは、消費者がいつ、何を、どこで、どれくらい欲しいのか、正確に理解している(もしくは正確に理解しようと、そこに多くの時間とお金を費やしている)。
最終的なエンドユーザーが何を求めているのかを正確に把握していることは、大きなパワーだ。業界ががらりと大きく変わろうとしている。
今回教授は、「これは、disrupt(破壊)のような生易しいものではない。
replace(置き換え)だ」と言っていた。
破壊されても、少しは残るものもあるが、replace(置き換え)をされてしまうと、
そっくりそのまま、すべてなくなってしまうのである。
“you don’t survive being replaced” ー置き換えをされると生き残ることは出来ない、という言葉が印象に残った。
あなたの事業はどうだろうか?そして、あなたは?