布留川 勝の人材育成の現場日記

G研報告(140回)「ハーバードビジネススクールを3時間で理解する(前編)」

2017/02/14

グローバル人材育成研究会(G研)

ビジネススクール

報告が遅れてしまったが12月16日にグローバル人材育成研究会にて、
『3時間で理解する幹部グローバル化のためのエグゼクティブ・エデュケーション』を開催した。

昨今、大手企業を中心に、トップビジネススクールの「エグゼクティブ・エデュケーション」が注目されている。しかし、実際に派遣した企業からは、「人選が思うように進まない」「プログラムの選択はどうしたらよいか?」といった質問が多く寄せられている。

今回は、このような疑問や課題を少しでも解消いただければと思い、ハーバード・ビジネス・スクール(以下、HBS)、エグゼクティブ・エデュケーション ディレクターのPhilippe Labrousse氏、日本リサーチ・センター長の佐藤信雄氏をお招きし、実際にプログラムに参加された大手企業の3名の方にもご登壇いただいた。

冒頭30分は、私より、日本企業がエグゼクティブ・エデュケーションを活用するための有効な検討プロセスについてお伝えし、その後、HBSのプログラムの特徴と参加者の方による体験談を発表いただき、ラウンドテーブルディスカッションを実施した。

さて、そもそも、エグゼクティブ・エデュケーションとは何なのか。

HBSの佐藤氏も言うように、エグゼクティブ・エデュケーションは、よくMBA派遣と間違われる。しかし、MBAとエグゼクティブ・エデュケーションは大きく違う。HBSのMBAとエグゼクティブ・エデュケーションの主な違いは以下の通り。
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・Degree(学位)は取得しない。修了証のみ。
・MBAはキャリアの若い方向けだが、エグゼクティブ・エデュケーションは
経験豊富なプロフェッショナル人材のために設計されたプログラムである。
・入学試験はなく、修了試験もない。
・MBAの教授陣よりも経験豊富な教授が行う。
・個人での参加はできず、企業での参加しかできない(一部例外あり)。
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このように、エグゼクティブ・エデュケーションとは、本当に優秀なプロフェッショナル人材のためのプログラムだ。世界中のトップタレントともに、選りすぐりの優秀な教授陣から学ぶエグゼクティブ・エデュケーションは、日本企業のグローバル化や、優秀人材のリテンション、後継者人材育成にとって必須となってきている。
そして、このエグゼクティブ・エデュケーションを有効に活用できないのは、非常にもったいない。このプログラムを活用するために、私がお伝えさせていただいた有効な検討プロセスのポイントは主に以下の2つだ。

ポイント①:長期的なグローバル人材育成戦略により、人選をし、人材プールを作る
これまで、長期的なグローバル人材育成戦略がなされていなかった日本企業においては、「グローバル人材育成=英語研修」という認識で育成された幹部候補の方が多く、グローバルビジネススキル(MBAフレームワーク、ディベートスキル、思考ツール等)を英語で学んでいないため、実際に英語で質問をされた際に、瞬時に英語で答えられない場合が多い。そのため、そもそも、企業としてエグゼクティブ・エデュケーションに派遣できる人材がいないという課題がある。弊社では、まずは企業でのエース級の優秀人材を選抜いただき、その方々を半年~1年かけてグローバル人材にする英語での「経営塾」をプログラムとして実施している。このプログラムを通じて、開始当初は英語でプレゼンさえできなかった人材を、アジアのグローバル人材と同等以上の英語も含めたグローバルスキルを身に着けていただく。
エース級を選抜し、まずはその方々からグローバル化することで、下の層にも波及させ、企業全体のグローバル人材を底上げさせる戦略である。

ポイント②:事前研修と事後の仕掛け
エグゼクティブ・エデュケーションが始まれば、1日3件ほどのケース・スタディーを多国籍異業種のトップ人材とともに英語で議論をしなければならない。受講期間中を有効に活用するために、「事前のアセスメント」で受講生の強み・弱みを認識し、その後、強化すべき点に特化した事前研修で補完を行うことが必要だ。受講期間中は、Input→Outputを意識して積極的に参加いただく。そして、帰国後は社内で共有の場を持つことで、会社で学んだことを活かしてもらう仕組みづくりをすることで、組織にその効果を波及することができる。

後編では、実際にHBSのプログラムに参加された3名の方から体験談をお伝えする。

<後編へ続く>

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