先々週の金曜日のINSEADのStewart Black教授をお招きしたG研について概要を紹介したい。
1995年、日本は栄光の時代を迎えていた。
Fortune誌のグローバル企業Top 500に日本企業は名を連ねており、1位から3位までを日本企業は独占、またに500社中、140社は日本企業だった。
それから、約15年。日本企業はなぜ勢いを失ってしまったのか?
というのがブラック教授のメインテーマだった。
教授によれば、グローバル化には5つのステージがあるという。
① Domestic Focus (国内)
② Domestic + Exports (国内+輸出)
③ International Focus (国際化)
④ Localization Focus (海外現地化)
⑤ Global Focus (グローバル)
どの企業も最初は、①から地域密着企業としてスタートする。
②の輸出ステージで大切なのは、人・モノ・手順の標準化だ。
日本社会の特徴として、単一言語や移民が少なかったこともあり、
日本企業は、上記の標準化がうまくいき、輸出ステージで大成功を収める。
しかし、輸出ステージで日本企業の手助けとなったような日本社会の特徴が第三ステージ、第四ステージとグローバル化が進むにつれて、不利に働くようになってしまう。
すなわち、異なる背景を持つ人々と働くことが求められる現地化に、日本人人材はうまく適応できないのだ。
現地のニーズに商品を合わせようとすると、現地事情に明るい現地リーダーの育成や、現地に合わせた仕組みづくりが必要だ。
しかし、日本から派遣されてくる日本人マネージャは概して順応性が低く、現地リーダーを最大限に活かしきれていない。
ブラック教授は、グローバル企業として生き残るための3つの方策を示していた。
・Hire: 経営陣の多国籍化。ノキアの経営陣を例にお話されていた。
・Develop: 社員グローバル化プログラムの開発。武田薬品工業とINSEADの合同プログラムを例にお話されていた。
・Acquire: M&Aをうまく利用し、世界中でリーダー育成を進める。
質疑応答では、日本企業では韓国サムスンやLG電子をグローバル化のお手本とする動きが加速しているが、その動きについてどう思うか?という質問も出た。
それに対して、ブラック教授は、韓国サムスンやLG電子ではグローバル化を推進しているものの、経営陣は依然として韓国人ばかりで、真のグローバル化が進んでいるとは思えない。
よって、日本企業が韓国企業をお手本とするには慎重になったほうがいいのではないか?という意見だった。
ここ数年日本企業は組織・人材開発においてサムソン社をベンチマークしようという動きがあったが、ブラック教授の目には必ずしもそう映っていないようである。