第148回のG研(5月30日(火)実施)では、
『グローバル・デジタル時代の「能力」デザイン
~迷い続けるグローバル人材育成施策からの脱却!~』というタイトルで、
キャメル・ヤマモト氏をお招きした。
私からは、
『「グローバル人材育成=英語研修でしょ!」となっていませんか?迷走するグローバル人材育成から脱し、真に通用するグローバル人材・組織を作るには?』
という題でお話しさせていただいた。
私のパートについては、別の機会に書くとして、今回は、
第2部のキャメル・ヤマモト氏のパート
『新しい時代に求められる「組織能力と人材能力」をデザインし、開発するための「まだらメソッド」』
について報告したい。
多くの日本企業で、グローバル化の影響がもはや避けて通れなくなった時代において、
一つの会社の中で、
・社内序列の文化を中心とした日本的経営
・Up or Outの文化を中心とした外資的経営
が混在しており、キャメル氏はこの状況を「まだら」と呼んでいる。
この二つの考えが対立する中で重要なのは、
組織デザイン、そして鍵を握るのはリーダー人材の開発ということで、今回お話いただいた。
▼今、何が起こっているのか?
そもそも組織をデザインをする上で重要なことは、「WHY(目的)」の定義だ。
これは現在のグローバル情勢と現状の人材プールを照らし合わせながらそのギャップは何か?を考えていくことだ。
しかし、今の世界情勢を見ると、
「デジタル化」「ミレニアル化」「グローバル化」などに代表されるように、
今までの社会の通念が破壊され、激動の社会を迎えている。
そのため、「これが正解!」という組織デザインが難しい。
このような中、日本企業では様々なレベルでの日系/外資系のまだらが発生しており、
グローバル化/ローカル化共に不全となってしまうケースや、
買収後の統合問題など、様々な諸問題が噴出しているのが実情だ。
この時、重要なのは、「企業ごとにどんなまだらになっているか」を理解し、
・問題だったらどう変えるか?
・強みはどう残し、生かすか?
・施策はどうするか?
を考えなければいけない、とキャメル氏は説く。
これについては、多くの参加者から以下のような声があり、大反響であった。
・「一言で『企業のグローバル化』といっても、さまざまなケースがあることを改めてよく理解できた」
・「日本的経営か外資的経営か、どちらかしかないと思ってたので参考になった」
▼では日本企業はどう生き残るか?
組織ごとの状況をよく分析すると同時に、
「日本企業本来の強みを生かしながら、同時に変化に柔軟に適応する組織」を目指すことが重要だ。
各社ごとに「まだら模様」は異なっている。そのため、目指す人材組織は各社によって異なる。だからこそ、自社にとっての「日本企業本来の強み」とは何か?自社にとって「変化に柔軟に適応する」とはどういう意味か?を自問しなければならない。
今回のお話で私が印象的だったのは、リーダーに求められる下記の2つの力だ。
・「秩序をDEFINEする力」=変化する情勢にあわせて秩序を書き換えていく力
・“Precise Abstraction(正確な抽象化)”=混沌とした秩序を「コンセプト化」することができる力
混沌とした激動のVUCA時代においては、自らが意思をもって道を切り開いていくことが大切で、道を切り開くためには「自分の思考と言葉で世界を秩序づけていく」ことが
重要だと改めて感じた会であった。